研究のヒント

逆転項目の処理と尺度得点の計算|手作業で起きやすいミス

公開日

心理尺度の逆転項目とは何か、反転の計算式、合計と平均のどちらで尺度得点を出すか、手作業で起きやすい反転し忘れや列のずれを説明します。

心理尺度を使ったアンケートでは、集めた回答をそのまま分析には使えません。逆転項目を反転させ、下位尺度ごとに得点を出してから分析に進みます。この記事では、逆転項目とは何か、得点をどう計算するか、手作業で起きやすいミスを説明します。

逆転項目とは

逆転項目は、ほかの項目と得点の向きが逆になっている項目です。例えば、孤独感を測る尺度に次の 2 項目があったとします。

  • 「一人ぼっちだと感じることがある」
  • 「自分には頼れる人がいる」

どちらも「あてはまる」ほど高い数字(5 件法なら 5)がつくとすると、1 つ目は数字が大きいほど孤独感が強く、2 つ目は数字が大きいほど孤独感が弱いことになります。2 つ目のような項目が逆転項目です。

逆転項目を入れるのは、内容を読まずに同じ選択肢を選び続ける回答(黙従傾向)の影響を減らすためです。すべての項目が同じ向きだと、「全部あてはまる」と答えるだけで得点が高く出てしまいます。

反転のしかた

反転は「(選択肢の最大値 + 最小値)− 回答の値」で計算します。

5 件法で回答 2 を反転すると 4 になることを示した図

図 1 1〜5 の 5 件法では「6 − 回答」で反転する

回答の形式計算式例
1〜5 の 5 件法6 − 回答2 → 4
1〜7 の 7 件法8 − 回答2 → 6
0〜4 の 5 件法4 − 回答1 → 3

選択肢の数字が 0 から始まる尺度もあるので、「6 − 回答」を機械的に使わず、尺度の選択肢を確かめてから式を決めます。

尺度得点を出す

反転が済んだら、下位尺度ごとに項目の値をまとめます。まとめ方は尺度を作成した論文に書かれている方法に合わせます。

  • 合計: 項目の値を足し合わせる。項目数が同じ尺度どうしで比べやすい
  • 平均: 合計を項目数で割る。選択肢と同じ目盛りで解釈でき、項目数の違う下位尺度を並べやすい

未回答の項目がある場合の扱い(その人を除くか、回答のある項目だけで平均を出すか)も、分析の前に決めて論文に書いておきます。

手作業で起きやすいミス

  • 反転し忘れ: 逆転項目が尺度の中に散らばっていると、1 つ見落としやすい。反転し忘れると、その下位尺度の信頼性係数(α 係数)が不自然に低くなることがあります
  • 二重に反転する: 反転済みの列をもう一度反転させてしまう。元の列と反転後の列を別に残しておくと防げます
  • 列のずれ: 提示順を回答者ごとに変えたフォームを複数使った場合、フォームごとに列の並びが違い、まとめるときに別の項目の列を足してしまう
  • 項目の割り当て違い: どの項目がどの下位尺度に入るかを、論文と照らし合わせずに覚えで入力してしまう

どれも、分析の結果を見ただけでは気づきにくいミスです。予備調査の回答で一度計算を通し、論文に載っている平均値や α 係数と大きく違わないかを確かめておくと安心です。

Psynaut で計算する場合

Psynaut では、フォームを作るときに逆転項目と下位尺度を設定しておくと、得点の計算までを書き出しに含められます。

  • 質問ごとに「逆転」の印を付けると、元の回答の列はそのまま残し、反転した値を _r の付いた列に書き出します
  • 項目に下位尺度の名前(タグ)を付けると、タグごとに合計(_sum)または平均(_avg)の列を CSV に追加します
  • 提示順をランダマイズしていても、列は質問ごとに揃って書き出されます

計算の設定はフォームと一緒に保存されるので、研究室で同じ尺度を使うときに設定を引き継げます。

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