ラテン方格法とは?順序効果を抑えるカウンターバランスの組み方
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順序効果(練習・疲労・持ち越し)を抑えるラテン方格法を、条件が 4 つ・3 つのときの提示順の表で説明します。単純なずらし方では足りない理由と、条件が奇数のときに 2n 通り必要になる理由もまとめました。
心理学の実験や調査で、条件や尺度の提示順を回答者ごとに変えたいときに使われるのがラテン方格法です。この記事では、順序効果とは何か、ラテン方格法でどのように提示順を組むのか、条件の数が奇数のときに気をつけることを説明します。
順序効果とは
同じ人に複数の条件や質問を順番に出すと、出した順番そのものが回答に影響することがあります。これを順序効果と呼びます。
- 練習効果: 課題に慣れて、後半の条件ほど成績がよくなる
- 疲労効果: 疲れや飽きで、後半の条件ほど回答が雑になる
- 持ち越し効果: 直前の条件の影響が次の条件に残る。怖い映像を見た直後は、次の映像も怖く感じやすい、など
すべての回答者に同じ順番で出すと、条件の差なのか順番の差なのかを区別できません。そこで、提示順を何通りか用意して回答者に割り当て、順番の影響が特定の条件に偏らないようにします。これをカウンターバランスと呼びます。
全部の順番を使えばよいのでは?
条件が 3 つなら、並べ方は 3 × 2 × 1 = 6 通りなので、全部を使えます。しかし条件が 4 つなら 24 通り、5 つなら 120 通り、6 つなら 720 通りに増えます。すべての並びに同じ人数を割り当てるには、それだけの回答者が必要になり、現実的ではありません。
ラテン方格法は、少ない数の並びで順番の影響を釣り合わせる方法です。
ラテン方格
ラテン方格は、n 個の記号を n 行 n 列に並べ、どの行にもどの列にも各記号がちょうど 1 回ずつ出てくる表です。行を「提示順のパターン」、列を「何番目に出すか」と読みます。条件 A〜D の 4 つなら、例えば次のようになります。
| パターン | 1 番目 | 2 番目 | 3 番目 | 4 番目 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | A | B | C | D |
| 2 | B | C | D | A |
| 3 | C | D | A | B |
| 4 | D | A | B | C |
4 パターンだけで、どの条件も 1 番目から 4 番目までの各位置に 1 回ずつ現れます。位置による影響(練習効果や疲労効果)は、これで釣り合います。
単純に 1 つずつずらすだけでは足りない
上の表は、1 行目を 1 つずつ左にずらして作ったものです(ローテーション)。位置は釣り合っていますが、よく見ると、A の直後は必ず B、B の直後は必ず C です。持ち越し効果がある場合、「A の影響を受けた B」しか測れず、B の結果に A の影響が常に混ざってしまいます。
この問題を解くのが、釣り合い型ラテン方格(ウィリアムズ計画)です。位置の釣り合いに加えて、どの条件の直後にどの条件が来るかも釣り合うように並べます。条件が 4 つのときの例です。
| パターン | 1 番目 | 2 番目 | 3 番目 | 4 番目 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | A | B | D | C |
| 2 | B | C | A | D |
| 3 | C | D | B | A |
| 4 | D | A | C | B |
隣り合う 2 つを数えると、A→B、B→D、D→C、B→C、C→A、A→D、C→D、D→B、B→A、D→A、A→C、C→B の 12 通りが 1 回ずつ現れます。どの条件も、ほかのすべての条件の直後にちょうど 1 回ずつ来ています。
1 行目は「1, 2, n, 3, n−1, 4, …」の順に条件を並べ、2 行目以降はそれぞれの条件を 1 つ先の条件に置き換えて作ります(A→B、B→C、…、最後の条件→A)。
条件の数が奇数のとき
条件の数が偶数なら、n 行の表 1 枚で直前・直後の関係まで釣り合います。奇数のときは 1 枚では釣り合わないため、各行を逆順にした表をもう 1 枚加え、2n 通りのパターンにします。条件が 3 つなら次の 6 パターンです。
| パターン | 1 番目 | 2 番目 | 3 番目 |
|---|---|---|---|
| 1 | A | B | C |
| 2 | B | C | A |
| 3 | C | A | B |
| 4 | C | B | A |
| 5 | A | C | B |
| 6 | B | A | C |
パターン 4〜6 は、1〜3 をそれぞれ逆から読んだものです。条件が 5 つなら 10 パターン、7 つなら 14 パターンになります。
ランダム・ローテーションとの違い
提示順の決め方には、ラテン方格法のほかにローテーションと完全ランダムがあります。釣り合わせられる範囲が違うので、目的に合わせて選びます。
| 方式 | やっていること | 釣り合うもの |
|---|---|---|
| ラテン方格法(釣り合い型) | 直前・直後の関係まで釣り合うように作った並びを、回答者に割り当てる | 位置と、直前・直後の組み合わせ |
| ローテーション | 基準の並びを 1 つずつずらした n 通りを使う | 位置だけ。直前・直後の組み合わせは毎回同じ |
| 完全ランダム | 回答者ごとにくじ引きで並びを決める | 人数が多ければ平均的には釣り合う。少人数では偏りが残ることがある |
持ち越し効果まで抑えたいなら、ラテン方格法を選ぶのが安全です。
人数がパターン数で割り切れないとき
集まる人数が、パターン数のちょうど倍数になるとは限りません。パターンを決まった順に、来た人から 1 つずつ割り当てていけば、パターンごとの人数の差は最大 1 人に収まります。
例えば条件が 4 つ(4 パターン)で 20 人なら、各パターン 5 人ずつになります。条件が 3 つ(6 パターン)で 20 人なら、4 つのパターンが 3 人、2 つのパターンが 4 人です。募集人数を決める段階で、パターン数の倍数に近づけておくと偏りが出にくくなります。
使うときの注意
- 人数はパターン数の倍数にする: 各パターンに同じ人数を割り当てないと、釣り合いが崩れます。4 パターンなら 4 の倍数、6 パターンなら 6 の倍数を目安に募集人数を決めます
- 固定したい部分は外す: 研究の説明と同意、フェイス項目、終わりのあいさつなど、順番を変えないものは入れ替えの対象から外します
- パターンを記録する: 分析で順番の影響を確かめられるよう、どの回答者にどのパターンを出したかを残しておきます
- 持ち越し効果が大きいときは計画を見直す: ラテン方格法は順番の影響を釣り合わせるだけで、消すわけではありません。前の条件の影響が強く残る課題では、条件ごとに別の人を割り当てる被験者間計画も検討します
Psynaut で使う場合
Psynaut では、フォームのセクション(尺度や刺激のまとまり)の提示順を、ランダム・ローテーション・ラテン方格法から選べます。
- ラテン方格法を選ぶと、この記事で紹介した釣り合い型の並びを自動で作ります。条件の数が奇数なら 2n 通りになります
- 同意やフェイス項目のセクションは位置を固定して、入れ替えの対象から外せます
- 回答者には、作ったパターンを順番に割り当てるので、各パターンの人数がほぼ同じになります
- パターンごとの配布用リンクも発行できます。実験室で回答者ごとにパターンを指定したいときに使えます
- 書き出す CSV には、回答者ごとに「パターン」と「セクション順」の列が入ります
セクションの中の質問の並びにも、ラテン方格法を使えます(こちらは回答者ごとに乱数でパターンを選びます)。フォームの編集画面は、ログインなしで触れるフォームビルダーのデモで試せます。
研究の準備を Psynaut でまとめる
フォームの作成から参加者の日程調整、分析用データの書き出しまで、無料プランで試せます。
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